学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 鵜飼 孝造 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | 自死遺族の心理状況に関する事例研究 —心身の不調に関するモデルの示唆— |
内容 | 自死遺族に対するメンタルヘルスや支援の必要性、効果については多くの研究で論じられているものの、現在の研究は表層的な要素に焦点を当てたものが多く、当事者が置かれている個別の状況に鑑みて論じた研究は少ない。そういった現状の背景には、遺族の「語りにくさ」による、データ収集の困難さの問題が挙げられ、さらなる個別事例の研究の必要性が考えられる。そこで、本稿では、1989年に自死で亡くなったA氏の例を対象に、3名の娘、妻の計4名にインタビューを行い、得られたナラティブから分析を行った。結果、「生活の混乱」に直面する要因としては、立場や親の配慮の多寡が挙げられ、「心身の不調」に直面する要因としては、血縁関係や故人への好意が挙げられる、ということが分析された。また「心身の不調」に関しては、末木(2010)の研究結果と併せて考察すると、1つのモデルが示唆され、認知的不協和の程度や血縁関係の有無によって「心身の不調」の有無やその程度が変化する可能性が指摘された。 |
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講評 | 自死者の遺族へのインテンシヴなインタビューを中心とする読み応えのある論文だった。読者は悲しみや喪失感あるいは悔恨の念を最初に連想してしまうのだが、ここで語られているのは、むしろ自死後の家族の安堵感や再出発への期待である。たしかに自死は重いことであるが、その「深刻さ」に隠れて語りにくいことも多い。そこを明らかにした点にこの論文のオリジナリティがあると思った。 |
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キーワード1 | 自死遺族 |
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キーワード2 | 語りにくさ |
キーワード3 | 心身の不調 |
キーワード4 | |
キーワード5 |