卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名小林 久高 年度2024年度
タイトル「人新世の『若者的』資本論」の可能性 ー脱成長コミュニズムに向けてー
内容  斎藤幸平の『人新世の「資本論」』における「脱成長コミュニズム」の実現可能性を、日本の現代若者の意識から検討した研究である。『人新世の「資本論」』では、目前に迫る環境危機に備え、資本主義ではなく脱成長コミュニズムという新しい経済形態に移行する必要があると主張されている。それに伴い、実際に脱成長コミュニズムが現代若者に適しているかを検討する必要があったのである。
 分析では、若者の多くが資本主義に否定的で社会主義的傾向やシェア志向を持つ一方で、経済的成功志向が強く、環境意識や政治意識が低いことが課題として浮かび上がった。政治意識の低さは環境意識の低さにも影響し、気候危機への関心を妨げている。
 ただし、ボランティア活動への積極性や新しい経済形態への柔軟性から、若者の変化に応じた政策次第で実現可能性を高められると結論付けている。「人新世の『若者的』資本論」の実現には、意識啓発や社会的支援が鍵となる。
講評 現代の若者に、斎藤幸平の『人新世の「資本論」』での提案が実現可能かどうか、ということを計量的に検討する論文。分析には不十分なところがあるものの議論は魅力的である。明らかになったネット利用と経済成長をもとめる意識との正の相関が興味深い。評者この結果から、ネットに現れる商業広告をどう考えるかという論点が頭に浮かんだが、筆者はどう考えているのだろう。
キーワード1 脱成長 コミュニズム
キーワード2 環境意識
キーワード3 若者
キーワード4
キーワード5