卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名板垣 竜太 年度2024年度
タイトル移住プロセスにおける「移住者」への転換 ――ライフスタイル移住者の「なりゆき」的実践に着目して――
内容 越境する移動が当たり前となった今日、各々の「理想のライフスタイル」を求め移住を行う新たな移住形態である「ライフスタイル移住」という概念が登場した。しかしながら、ライフスタイルを目的とした移住についての研究であるにも関わらず、移動を促す「動機」についての研究は進められているものの、ライフスタイル移住者の移住後の実践についての研究の蓄積は見られなかった。そこで本研究では移住者の移住後の姿に焦点を当てることで、「ライフスタイル移住」という概念を再検討することを目指した。この結果、従来用いられていた動機という枠組みでは捉えきれていなかった要素として、移住者が「なりゆき」的にライフスタイルを選択し、その積み重ねとして移住につながっているということがわかった。また、その過程で母国社会への帰属意識を弱め、自身を社会と社会の「はざま」に位置付けるという特徴が明らかとなった。
 以上を踏まえ、「ライフスタイル移住」とは①移住者に出発を促す「推進力」、②「流動的」かつ「選択の広がり」を見せるプロセス、③「ゲスト」と「移住者」という2つの段階を経る、という構成要素を持つ移住形態だと結論づける。
講評 移民研究のなかでも近年多くの研究が出ているライフスタイル移住は、古典的な「移民」イメージとは異なる「その他」の移住とも言うこともでき、そのため、そこにはさまざまなものが入り込んでいる。これまでの研究では、最初の移住動機に関心が集中してきたのに対し、本研究はむしろ移住後の生き方や意識に注目し、総合的にライフスタイル移住の社会学を企てたものである。事例の少なさが気になるところだが、イギリスという従来のライフスタイル移住ではあまりとりあげられてこなかった移住先に照明を当て、客観的な叙述によって、移住者たちの「なりゆき」的実践のあり方をプロセスとして明らかにした点で高く評価される。
キーワード1 ライフスタイル移住
キーワード2 「なりゆき」の選択
キーワード3 「ゲスト」から「移住者」へ
キーワード4
キーワード5