学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 板垣 竜太 | 年度 | 2024年度 |
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タイトル | お笑い劇場の組織分析―お笑い構成作家の生き方に着目して― |
内容 | 本論文では、構成作家という職に焦点を当て、お笑い劇場の組織分析を行った。分析には、文化生産を統一的に捉えるための報酬システム図式を用い、象徴的報酬、物質的報酬、主な消費者、文化的生産者間のつながりを4つの分析ポイントとして設定した。お笑い劇場はこの報酬システム図式の類型に当てはまらない新たな施設なのではないかと考え調査を行った。調査は、お笑い劇場で企画などを行っている、構成作家へのインタビューを中心に行い、彼らの仕事内容や個々の生き方を伺った。インタビューをもとに、構成作家が仕事を増やす手段として構成作家同士のつながりが重要であることや、職業への情熱が明らかになった。また、報酬システム図式を使ってお笑い劇場を他の小規模パフォーマンス施設と比較した結果、お笑い劇場はサブカルチャーと商業主義性を兼ね備えた独自の組織であり、その文化を持続させるシステムが存在していることが分かった。文化生産者の独立性と劇場の組織構造が、お笑い劇場をとりまく文化の深みを生み出している。 |
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講評 | お笑い業界はメディアを通じて極めて身近なものになっているが、いざこれを社会学的に研究しようとすると、業界の壁もあってさほど簡単なことではない。本論文は、小規模なお笑い劇場の組織面での特徴に注目し、文化生産における「報酬システム」に関する分析枠組を援用して、その特性を解明しようとした研究である。劇場、芸人、経営者らの調査が困難であるなかで、複数の構成作家のインタビュー調査に成功している。構成作家へのまとまったインタビューと報酬システム論のズレが見られるものの、物質的報酬、象徴的報酬、文化生産者どうしのつながりといった観点から、単純に商業主義的な大劇場の類型にあてはまらないお笑い劇場の性格を浮き彫りにした点は評価したい。 |
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キーワード1 | 小規模パフォーマンス施設 |
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キーワード2 | お笑い |
キーワード3 | 報酬システム図式 |
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