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1960年以後、高度経済成長の影響を受け、日本の農山漁村は急激な過疎化が進んだ。農山漁村の多くはこの状況を危惧し、様々な地域振興策を打ち出したが、その策が成功している事例・そうではない事例が存在した。そこで、まちづくりが成功している理由はどのような点にあるのかについて、京都府南丹市美山町を事例にし、その過程・現状から明らかにした。
美山町のまちづくりといえばグリーン・ツーリズム(農村観光)による地域振興が想起されやすいが、はじめから農村観光が行われたのではない。当初は農業振興や生活環境の改善、つまり住民の暮らしをよくするという目的で行われた。現在は活発な農村観光による地域振興が図られている一方で、まちづくりの重心は「振興会」と呼ばれる住民自治組織に置かれている。振興会とは、旧来の町内会などの地域組織を再編・統合し、さらに行政機能や経済機能を付与した新しい組織である。そこでは住民の自発的な活動を生み出す仕組みづくりを行っている。
美山町のまちづくりの成功の理由は、町の活性というよりも地域社会・生活環境をより良くしよういう素朴な志向と、住民の自発的な活動を生み出す仕組みづくりにあると考える。 |