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現在、京都市都心部には他都市と同じようなビルやマンションが建ち並ぶ景観が広がっている。2007年、京都市はその景観に危機感を感じ、新景観政策をスタートさせた。京都市は全国で初めて景観条例を制定した都市であり、これまでの条例も他都市に比べると厳しいほうであった。しかし、新景観政策はさらなる強化を図ったものであり、厳しすぎるとの声も相次いでいる。
「京都」といえば、三山を背景にした社寺の姿が思い浮かぶ。『るるぶ京都』の表紙、「そうだ 京都 行こう」の舞台を調べた結果、そうした「京都」で思い浮かぶ場所は、山中や山すそ部にあることがわかった。しかし、厳密に「古都・京都」と呼べる地域は、現在の都心部にあたり、行政が景観保護の強化を図っている地域である。
京都が都でなくなった近代以降、京都市では復興目指し、街路拡幅や市電敷設により業務地区・繁華街が都心部に形成された。これらの地域に洋風建築やビルが建ち並び、また高層建築を建てれば都市としての経済的な価値が高まると言う考えから、京都の代表的な景観「甍の波景観」の保護を徹底することが出来なかった。
こうした経済性や効率を優先させた社会を背景に、京都市都心部は他都市と変わらない景観となっていったのである。 |