内容 |
この論文は、若年転職者を対象として、どのような人がどのような理由で転職を考え、転職を決意し、実際に転職していくのかを明らかにしている。
各種調査の検討により、転職理由としては全体的に賃金や勤務条件への不満、会社の将来性・方向性への不安などの不満解消型の離職が多いことがわかった。しかし一方でキャリアアップややりたいことをするためという前向きな理由で転職する若年者も少なからず存在することが明らかになった。どちらの場合にも転職先の会社を選ぶ際に最も重視するのは仕事の内容である。
次に、転職経験者へのインタビューから、転職決意への影響関係は、様々な要因が転職決意に影響を及ぼしていることがわかった。プル要因で転職した人は、転職するかどうかで悩む傾向がある。それは、前職に不満があって転職するわけではないので、なぜ転職するのかを真剣に考え、前職と天秤にかけて判断しなければいけないからである。反対に、プッシュ要因で転職した人はあまり悩まないようである。それは、前職に不満があって転職するので、なぜ転職したいかが自分の中で明確だからである。つまり、転職への決意は離職理由によって固められることが明らかになった。 |