内容 |
本稿の目的は生体認証などの個人情報管理システムがどのように拡大してきたのかという、個人情報管理システムの拡大プロセスを明らかにすることである。これを解明する上で用いた仮説が「メディアと企業の連動により1つのシステムの導入が他の場所でのシステムの導入を促す」といったような連鎖反応が起きているのではないかという仮説である。これを本稿では〈個人情報管理システム連鎖拡大モデル〉と呼ぶ。またこのモデルを検証していくために用いた事例が新聞記事である。
そして、検証していく中で企業とメディアの連動により、個人情報管理システムの導入が連鎖的に拡大しているということがわかり、このことから〈個人情報管理システム連鎖拡大モデル〉が立証できた。さらにこの連鎖的な拡大がはじまるターニングポイントとなったのが「2005年」であることもわかった。この年には国内で初めて銀行キャッシュカードへの〈スキミング〉による逮捕者があらわれた。そうした〈スキミング〉への対策として銀行が生体認証の導入を本格的にはじめ、その結果、様々な企業や場所に生体認証という個人情報管理システムが連鎖的に、しかも急速に拡大していったのである。 |