内容 |
葬儀とは、古来より社会において重要な儀式であったといえる。例えば、日本を例にあげるなら、村八分として阻害されている者が周りの助けを借りることが出来る二分に入るのが、火事、そして葬儀である。ところが近年、葬儀の簡略化が目立つ。身内だけで葬儀をすませる家族葬という言葉を頻繁に聞くようになった。地域との関わりが最も強いと考えられている葬儀の簡略化と地域ネットワークの希薄化の関係が本論文のテーマである。
調査方法は筆者の地元である東大阪市御厨地区にて、自治会会長、住職、地元葬儀社の専務、3名へインタビューを行った。その内容から、村葬期(1945年~1990年)、自治会葬期(1990年~2000年)、会館葬期(2000年~)と3つの時代を設定し、それぞれの時期に身内を亡くしている筆者の実家の状況を母へインタビューし考察した。
御厨地区でも年を追うごとに、間違いなく葬儀は簡略化されている。葬儀の手伝いにいくことは、葬儀の仕方を学ぶ機会であった。その機会が減っていくということは、当然互助がはたらいていた葬儀は消え、個人主義な葬儀が主流になり、極端にいうと葬儀自体がなくなるような気すらする。それが当たり前になることが危惧される。 |