内容 |
本論は、犯罪の発生要因を、CPTEDなどを生かした環境的側面とソーシャル・キャピタルなどを生かした社会的側面の二面からアプローチすることで、読み解こうとするものである。
その目的に先立って私は、防犯とは、CPTEDや警察力に左右されるものであり、ソーシャル・キャピタルの持つ力はあくまで限定的であるという仮説を立てた。そうした仮説を前提に、文献の読み取りやフィールドワークを行い、それら結果の分析を行った。
結論は、仮説とは異なるものであった。第一に、CPTEDや警察力の持つ力はあくまでハードであり、決定的要因とはならないこと。第二に、それら環境的側面を生かすには、地域住民のつながりや防犯意識、つまりソーシャル・キャピタルこそ必要なのだということ。
これらから私は、犯罪の起こりにくい条件の定義を行った。それら条件の多くは、その地域における行動に関する透明性について、重要視するものである。これが分かるようなところでは、犯罪行為が露見する可能性が高く、うかつに犯罪は出来ない。そうした地域は犯罪者を遠ざけるだけでなく、そこで生まれ育った人間が犯罪に走ったりしないようにする礎ともなりうるのである。 |