内容 |
2008年秋、同志社大学、同志社女子大学に通う女子学生を対象に「就労意識について」の調査を行った。調査内容の主な焦点は、母親の存在は、女子学生の就労意識にどのような影響を及ぼしているのかである。これまでの研究で親子、特に母娘の職業は類似する可能性が高いという結果が明かにされており、それを受けて女子学生の将来の理想像は、母親の就労形態に類似するのではないかという仮説をたてた。今回の調査では、母親がこれまで歩んできたライフコースと、将来女子学生が歩みたいと考える理想のライフコースの比較、また女子学生は日頃からどの程度母親とコミュニケーションをとっているのか、などを質問し、その結果を分析した。
結果は仮説に反し、母親の就労形態に関わらず、半数以上の女子学生は将来何らかの形で働きたいという強い意思を持っているということがわかった。特に、結婚、出産後も働き続けたいと考える女子学生は多く、専業主婦となり家庭に入ることを希望している女子学生はわずかであった。
この結果を受け、母親の影響よりも何か他に大きな要因があると考えた。それは「女性の主婦化」が進んだ母親世代と、女性であれ外に出て働くのは当たり前とする女子学生世代の時代の変化である。落合恵美子の『21世紀家族』を参照しながら、「女性にとって働くとはどういうことか」を明かにして、考察を行っている。
女子学生の高い就労意欲は、明かに社会体制の変化からくるもので、母親の影響はそれほど受けていないことがわかった。これからは、性別にかかわらず多くの人が働くことに生きがいを見出す時代になるだろう。 |