学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 小林 久高 | 年度 | 2010年度 |
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タイトル | ひきこもりとはなにか―顕在的ひきこもりと潜在的ひきこもり― |
内容 | 「ひきこもり」とは、一般的に考えられているような、「自室から一歩も出ない」といった顕在的なものだけでなく、潜在的なものでもある。むしろ顕在的ひきこもりは、目に見えない潜在的ひきこもりの象徴である。そして、本稿では潜在的ひきこもりを、「本心と現状のズレ」からくる葛藤やジレンマであると定義し、顕在的・潜在的の両方を「ひきこもり」であるとしている。 そして、彼もしくは彼女を「ひきこもらせる」要因には、まず完璧主義的傾向などの個人的要因、また、個人主義でありながらもコミュニケーション能力を求められるという矛盾した要求をされるという、社会的要因が挙げられる。 そして、そんな「ひきこもり」からの回復とは、単に「外に出る」という顕在的なことではない。真の回復とは、完璧な人生を送らなければ価値がない、という強い規範意識から逃れることであり、そうすることで、ひきこもりから脱出できるというよりは、ひきこもる必要がなくなるのではないかと考える。 |
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講評 | 本年度の卒業論文は、文献をもとにした理論的研究、データの計量分析にもとづく論文、質的なデータ分析にもとづく論文と多様な方法を用いるものだった。 また、扱っている対象も、社会学の原点ともいうべき問題を解いた「宗教と科学」といったものから、現代的な問題を解く「就職活動の逆機能」といったものまでさまざまであった。 提出された論文はすべて、かなりの水準を示すものであり、執筆者が真剣に問題に向きあい、何とかその問題の構造や原因を明らかにしようとしている姿が文脈からありありとうかがえた。教員としてそういった論文を読むことは楽しくもあり、勉強になったことも多い。すべての執筆者の努力を高く評価するとともに、感謝したいと思う。 |
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キーワード1 | ひきこもり |
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キーワード2 | 象徴 |
キーワード3 | 規範意識 |
キーワード4 | コミュニケーション能力 |
キーワード5 | 個人主義 |