内容 |
今回筆者は、卒業論文のテーマとして「児童虐待」について取り上げる。筆者も実際に6歳の男の子の子育てをしている母親である。そこで、筆者の育児を分析することで、どのような時に、わが子に対してイライラする感情を抱いたり、それがエスカレートして、手をあげてしまうのか。また、どのような時に、わが子に愛情を持って育児を楽しく捉えることができるのかを探る。分析データとして、筆者は125日間にわたり、筆者と子どもとのやり取りについて詳細な育児日記を記録した。そのデータについて、コレスポンデンス分析を行った結果、筆者は、子どもとのやり取りの場に「第三者」がいる時は、子育てについて、肯定的で、ポジティブな記述をしており、子育てを楽しく感じていることが分かった。一方、第三者がおらず、筆者と子どもだけの場面では、イライラしたり、子どもに対してきつい言い方をしたり、否定的な記述が多く見られた。この筆者の結果を、R・ヒルの「ABC-Xモデル」の枠組みを用いて分析すると、筆者は「第三者」をストレス対処資源として活用していることが分かった。この結果から、筆者は、子育ての場はどうしても母親と子どもだけになりがちであるが、必要な時は、誰かが隣にいてくれるような環境作りが必要であると考える。近年は、少子高齢化・核家族化が進み、家族の形態も変化していき、人と人のつながりが希薄になってきていて、子育てがしにくい環境であるといえる。児童虐待を防止するためには、母親が孤独を感じないような第三者がいる環境をつくって、子どもをみんなで育てていくという認識を持つことが重要である。 |