学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 小林 久高 | 年度 | 2011年度 |
---|---|---|---|---|---|
タイトル | 現代社会における若者の卑小感の研究 |
内容 | 本稿は、卑小感が存在することで、どのように若者の生活様式やその意識、または人間関係の構築の仕方に影響を及ぼすかを卑小感と他の変数との相関関係表を用いて明らかにする。 分析の結果、卑小感が強い人々は、現実社会での生活に上手く馴染めず、不満を感じる一方で、ネット社会に居場所を見出すようになるという傾向が強く出た。彼らは他人指向型であるため、ネットという空間で他者と気軽に同調し合うことで、つながりや盛り上がりを求めるからだ。しかしネット社会も卑小感を強固にする構造がある。各人がネットを利用して自由に知りたい情報や似た考えの人と簡単に出会えるという構造(欲望追求装置)を享受しつつも、自分と同調し合えない、異質な他者に対しては排除しようとするようになる。 そのことによって、他者と話がかみ合わないことへのストレスが卑小感を増幅させる。そこで、卑小感を緩和するためには、無理に他者と分かり合おうと同調を求めるのではなく、自分たちは異質な他者が共存しあう場にいるのだ、という「並存性」を前提とした関係を築いていくという発想の転換が大切だ。 |
---|
講評 | 本年度の卒業論文のテーマは、教育、職業、社会心理、ギャンブル、まちおこしなど、多様なものだった。また用いられた方法も、文献研究、データの計量分析、データの質的分析などさまざまである。 論文すべてを通して感じられるのは、もう少し時間をかければかなりよいものになるということである。重要な発見がなされているにもかかわらず、議論が不十分で残念に思った論文もいくつかある。社会学の基本的な理論についてより深く理解すること、ならびに、議論の展開について、もっとしつこく考えることが必要なのだと思う。 そうは言うものの、厳しい就職活動の中、短期間でここまで論文を仕上げたことは評価すべきだと思っている。学生の底力には今年もまた驚かされている。 |
---|
キーワード1 | 卑小感 |
---|---|
キーワード2 | ネット社会 |
キーワード3 | 他者との同調 |
キーワード4 | |
キーワード5 |