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日本において幼稚園教育の重要性はよく認識されているが、それに従事する教諭について目が向けられることは決して多くない。幼稚園教諭は若い女性が多く、早期退職が一般化しているのが現状である。その理由は結婚・出産が多いが、その他あいまいな理由も多くある。国家資格を持った専門職である幼稚園教諭が結婚・出産までしか勤めていない現状には、どういった原因があるのだろうか。本論文では、労働者の意識と労働環境の2つの点から仮説を立て、インタビュー調査によって分析した。
結果、幼稚園教諭は労働を長いスパンで捉えていない傾向が強いこと、幼稚園教諭の労働環境が非常に特殊であること、私立幼稚園と公立幼稚園とで教諭の待遇に大きな違いがあることが分かった。教諭は公立と私立の違いを認識した上で、どちらで働くかを決めており、長く勤めようと考えている教諭は公立に、そのように考えていない教諭は私立に勤める傾向が強い。また、私立幼稚園で長く続けたいと思う者でも、出産後の仕事は現実的に難しいと考えている。園の特殊な環境や教諭のライフサイクルなどによって、結果的に教諭の勤続年数が決定づけられるのである。また、幼稚園教諭が人気の職種であるがゆえに、新しい人材には事欠かない。そのため、幼稚園側も早期退職を問題視していないのが現状である。
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