内容 |
「男らしさ・女らしさ」を求めるジェンダー意識が高い日本において、マスメディアは私たちにとってジェンダー概念を形成する最も身近な要因となっている。実際にテレビやCMにおいて女性が家族の為にエプロン姿で洗濯や洗い物をしたり、男性がスーツ姿で忙しく走り回ったりといったように、男女により異なる演出方法が用いられていることを、私たちは何の疑いもなく視聴している。このような創られた男女のイメージがテレビやCMで何度も放送されることによって、イメージが現実のものとなり、女性のあるべき姿=理想像が視聴者の中で形成されていくと考えた。
本論ではテレビドラマ・CMに焦点を当てて、女性を表現・演出する方法を考察すると共に、なぜ偏った表現方法になるのかをマスメディア業界における女性の位置と関連付けて考える。調査の結果、社会の変化を反映して女性が仕事を持つ設定の番組や男性が子育てを手伝う場面も見られたが、依然として女性が家事や育児を行う演出はどの時代も共通して見られた。この理由としては、発信者側であるマスメディアの制作部門や管理職に女性が圧倒的に少ないことが考えられる。以上調査結果から、問題解決の方法として、マスメディアが固定観念化された女性像を表現するのではなく、オルタナティブな女性役割を表現していくと共に、多様なマスメディアの分野における女性の雇用を拡大し、女性の側に積極的にマスメディアに対して発言する機会を提供していく姿勢も必要であることが示された。 |