学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | FABIO RAPHAEL GYGI | 年度 | 2012年度 |
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タイトル | 世論調査の増加傾向と現代日本政治の不安定化についての考察―安倍・福田・麻生政権を例に― |
内容 | 昨今、世論調査報道がテレビのワイドショーや新聞紙面、インターネット上を騒がす光景を頻繁に目にする。実際、各報道機関の調査は、過去30年間、政権交代の生じた総選挙があった2009年をピークに右肩上がりで増加している。年30回/月2・5回のペースが最近の傾向だ。 その一方で政治の不安定化は常態化してきているようにも思える。小泉政権以降、安倍・福田・麻生と「一年一宰相」と揶揄されたように、わずか3年の間に3人もの首相が次々と変わっていった政治の迷走は記憶に新しい。 本論考では、このことを政治の不安定化を例示する一事象として捉え、世論調査の増加傾向との間にいかなる関係性があるのかを考察した。 両者の関係性を説明づけるものとして、世論調査の映し出す「世論」そのものに要因があることが分かった。「世論」とは、調査回答者の場当たり的直感に基づく判断の集積として生まれた、一種の空気にすぎないのにかかわらず、マス・メディアによって全国民の総意のごとく頻繁に報道されることで、有権者と為政者の両方が翻弄され、結果として政治全体が不安定化していくのである。 昨今、世論調査報道がテレビのワイドショーや新聞紙面、インターネット上を騒がす光景を頻繁に目にする。実際、各報道機関の調査は、過去30年間、政権交代の生じた総選挙があった2009年をピークに右肩上がりで増加している。年30回/月2・5回のペースが最近の傾向だ。 その一方で政治の不安定化は常態化してきているようにも思える。小泉政権以降、安倍・福田・麻生と「一年一宰相」と揶揄されたように、わずか3年の間に3人もの首相が次々と変わっていった政治の迷走は記憶に新しい。 本論考では、このことを政治の不安定化を例示する一事象として捉え、世論調査の増加傾向との間にいかなる関係性があるのかを考察した。 両者の関係性を説明づけるものとして、世論調査の映し出す「世論」そのものに要因があることが分かった。「世論」とは、調査回答者の場当たり的直感に基づく判断の集積として生まれた、一種の空気にすぎないのにかかわらず、マス・メディアによって全国民の総意のごとく頻繁に報道されることで、有権者と為政者の両方が翻弄され、結果として政治全体が不安定化していくのである。 |
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講評 | 今年は初めてファビオゼミから卒業者13名が出る。卒業論文のテーマは世論調査の政治的な効果から臓器移植に関する比較研究まで幅広い分野に渡る。方法 論も、エスノメソドロジーからインタビュー調査とアンケート調査を含む質的研究法が多かったが、計量的なものもあった。しかし全体的に言えるのは、議論が不十分である。優秀な出来映えの二人を除けば、全員の議論にかなり無理がある。 問題意識がはっきりしていなかったり、ただ幾つかの事例を羅列して述べているだけのものや、学術論文と言えないエッセイ的になったもの、設問と結論が微妙に一致していないもの、質的研究法で得られたデータをムリヤリに仮説検証型に押し付けるなどの失敗がよく見られた。自分で得られたデータからどんな結論を導き出せるのかという点でもかなり論理上の無理が多 かった。ギリギリ最後までに卒論を後回しにした人は、調査の醍醐味を感じたのか「もっと早くやれば良かった」と言っていた。取りかかりが遅かった点に関しては、指導教官として厳しさに欠ける面があったと反省している。 |
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