内容 |
今までに大勢の人がしているだろう「差し入れ」行為。なぜするのかと考えを巡らせたことはあるだろうか。本稿は、大学生サークル集団における「差し入れ」の実態を探ることで、相互行為研究のうちに、「差し入れ」(=「忙しい仕事に追われている人に食物や品物を届ける」の意。)研究の開拓を行うことをねらいとしたものである。Simmel の「人々の間の相互作用の多くは交換と見なしうる」という言葉、Maussの『贈与論』、Goffmanの『儀礼としての相互行為』など、集団・贈与に関する様々な先行研究の知見をもとに、仮説を立て、調査・考察を行った。本稿では、以下3つの理論を立てた。①「能動的差し入れ・受動的差し入れと動機付けの指向によって2種類に分類できる」、②「差し入れ意欲の高い人ほど、サークル内人間関係構築度が高く、サークルに対して愛着を持っている」、③「回生と差し入れ行為には相関関係がある」。動機付けによって発信するメッセージが異なること、親しさや義務感、「差し入れ」の間には相関関係があること。調査結果からは、「差し入れ」が、比較的容易に実行できる、れっきとしたコミュニケーションツールのひとつとして用いられていることが明らかになった。 |