内容 |
本論文は、ディズニー・アニメーションにおける悪玉、ヴィランズについての研究である。悪玉の定義や先行研究から、分かりやすい悪玉が何をモチーフにして生まれたのかを考察し、その後ディズニー・アニメーションの歴史について紹介をしている。ディズニーのヴィランズ達もこれまでは、悪玉と分かりやすい見た目をしていることが多かった。しかし近年その悪玉像は変わり、一見優しそうだがその裏で狡猾に策略を立てている悪玉が増えている。この転換は主に2000年を境にして起こっている。特にディズニー・アニメーション作品『アナと雪の女王』(2013)は、パターン化された悪玉像から大きく外れた物語となっている。これについてこれまでのディズニー・ヴィランズたちがどのようなキャラクターであったのかを、『アナと雪の上』ではどのようなキャラクターが悪玉になっているのかを、複数のキャラクターを例に挙げながら分析を行った。その結果これらの転換は、ディズニー・アニメーション・スタジオのグローバル化や、CGアニメーションの台頭、そして愛と勇気と魔法で構成されたディズニー・アニメーションに対するある種の理想を持たせる<ディズニー・マジック>の3点が大きく影響を与えていることが分かった。 |