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人の意思決定戦略には違いがある。その背景にはヒューリスティックスという概念が存在し、人はこのヒューリスティックスを日々の生活に無意識の内に取り入れている。だが、人によってヒューリスティックスを利用する頻度には違いがあり、例えば、思い立ったらすぐに行動する人、行動する以前に熟慮を必要とする人といったように、ものごとに対する捉え方は違っている。
一方、日本は災害大国と認知されながらも人それぞれ防災意識には大きな差が生じている。普段から防災訓練などを通して防災レベルを向上させている人もいれば、災害は自分とは全く関係のないものだと捉え、何も対策しない人もいる。さらに言えば、災害時に野次馬と化して自らリスクを負う行動を取っている人もいる。
防災意識を向上させることが重要だということは以前から指摘されているが、人の意思決定戦略の違いがどれだけ防災意識に影響を与えるのかについての研究が詳しくなされているとは言い難い。
本稿は主に同志社大学生を対象とした質問紙調査を通して、人の意思決定戦略を支えるヒューリスティックスの存在がどれだけ防災意識に影響を与えるのかについての事例研究である。またヒューリスティックスと防災意識の関連性を明らかにすることで新しい防災対策のあり方を模索する一助となりたい。
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