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日本は現在、少子化という大きな問題を抱えている。この少子化の要因の1つとして未婚化といった傾向が考えられる。そこで本論文では未婚化について検討することにより、少子化の背景を探ることにしたい。
まずは少子化の背景に未婚化が存在することの確認を行った。そして先行研究から未婚化の原因として次の3つが指摘された。1つ目は、女性が高学歴化し高い経済力をつけたことによる「女性の自立仮説」である。2つ目は、男性の雇用が悪化することで将来の所得に対して男女ともに期待が持てないという「男性の雇用情勢の悪化」である。最後は、「男性は仕事、女性は家事」のような伝統的な考え方が弱まり、結婚は個人の自由であるとする「共同体的イデオロギーから個人主義的イデオロギーへの価値観の変化」である。以上の3つの説について、日本においてはこれらが妥当であるのかということを検討した。
その結果、「男性の雇用情勢の悪化」は認められるが、「女性の自立」というのはデータでは示されなかった。「共同体的イデオロギーから個人主義的イデオロギーへの価値観の変化」については、先行研究と同様の傾向をつかむことができたものの、未婚率への影響ついては確証が得られなかった。
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