内容 |
本論文では、大学生の結婚観を探ることで、現在の「結婚」の在り方を考察した。全体的な傾向としては、女性は戦後に比べて「仕事」の占める割合が徐々に高まってきており、今まさに「脱・性別役割分業」というような、柔軟で多様化した結婚観を抱いている。それに対して男性は、いまだ性別役割分業の意識から抜け出せていない部分が見受けられた。さらに、女性は結婚観において家庭意欲の高い「専業主婦志向」と、仕事意欲の高い「キャリア志向」の二極化が起こっていることがわかった。分析の結果、前者は全体的にブランド志向が強く、また他力本願な傾向がみられた。これに対して後者は自立・独立志向が強く、また性別役割分業への強い否定があるという特徴があった。そしてこの意識の違いが、結婚観とも密接にかかわっていた。
ただ今日の社会においては、多様な結婚観に基づいて自分のライフコース・人生を選択し、実現していくための土壌がまだないといえる。私たちは今、新しい家族像、新しい結婚生活イメージをつくりあげていくことが必要であり、それができたときにこそはじめて、内実ともに“「結婚」の在り方が変化した新たな時代”へと突入するのかもしれない。
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