内容 |
近年、喫煙者数の減少とともに喫煙者への目も厳しいものになってきている。その中で特に数の少ない女性の喫煙開始段階においては親の影響、友人の影響などが考えられ、本論文は20代女性に行ったインタビュー調査をもとに、ハイダーのバランス理論とマートンの準拠集団論を用いて喫煙開始までのプロセスを分析していく。
また従来喫煙に対する社会の厳しい目から守ってくれると言われていた準拠集団が、喫煙者数増加と共に変容してきているのではないかと問いを立て分析を行った。
親が非喫煙者で子の喫煙に否定的であったとしても、子にとってその姿勢は抑止力にはならない。逆に親が喫煙者であった場合は、喫煙に対する興味を掻き立て、喫煙開始の要因の一つとなる。喫煙者の周りに喫煙者が多いのは、友人の影響が連鎖しあうこと、集団の規範が社会的拘束力を及ぼすからである。
喫煙者の女子学生は友人関係においては、規範という目において、相手が喫煙に対してどう思っているかということを重視し、それが規範として作用する。所属集団が喫煙に否定的な態度をとっている場合、「嫌われたくない」という顕在的機能として喫煙を「隠す」という行動をとるが、それが結果的に潜在的機能として集団の安定をもたらす。数の少ない女性の喫煙者に対して非喫煙者の増加と共に女性の喫煙に否定的な態度を取る人が増えているが故に、女性は男性に比べて、より喫煙しにくい社会になっていると言える。 |