卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名鵜飼 孝造 年度2016年度
タイトル「かわいい」文化の形成とそれらがもたらした国内外での「かわいい」感覚の表現展開について
内容 現代社会は「かわいい」で溢れている。それは単なる言葉にとどまらず、世界へ向けて概念や文化として拡散されつつあり、今や「おんなこども」「おとこおとな」の区別は無効化され、「何にでも」適用される・できる言葉へと進化した。その変遷を辿るべく、「かわいい」という感覚の誕生、語源や由来を解き明かし、人々に愛された「かわいいもの」について時代を追いながら注目することで、日本を取り巻いてきた社会情勢に至るまでを思案する。出現から現代にかけ、認識の変化を遂げてきた「かわいい」は、やがて経済活動とも切っても切り離せない存在となる。消費社会の中でも飽きられないよう、人の手によって様々なハイブリット化を経験し、やがて海外へと、キャラクターなどに代表される「かわいいもの」を通じてその存在は拡散される。世界各国の人々に、国籍年齢問わず与えた影響諸々を考えても、もはや「かわいい」は産業の枠にとどまらない。ボーダーレス化の進む現代において、地球規模の新たな文化形成をもたらしているとしても過言ではない日本は、今後どのような展開を見せるのか。多面的な考察を通して「かわいい」を見つめ直し、グローバルな視点へと展開する。
講評 もともと「かわいい」は小さな子供に対して用いられる言葉だったようだが、それが様々なニュアンスをもつと同時に、グローバルにも広がって、日本文化の重要な一要素にもなりつつある。そこでこの研究はアンケート調査において「かわいい」の反対語を自由に回答してもらうことで現代における「かわいい」の実態を解明しようとする。その結果、わかったことは、「かっこいい」でもなく「ぶさいく」でもないという回答が最も多く、要するに美醜の軸において醜くはないが、シャープで成熟した美しさでもない、そばにいてほしい親しみが重要な要素であることがわかった。海外では「かわいい」にぴったりはまる概念がないので流行したとも言えるが、その未成熟さを肯定する価値観は、グローバル社会における日本の弱点でもあるとの指摘には納得できた。
キーワード1 かわいい(Kawaii)文化
キーワード2 グローバル化
キーワード3 ハイブリット化
キーワード4
キーワード5