学科 | 教育文化学科 | ゼミ教員名 | 吉田 亮 | 年度 | 2014年度 |
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タイトル | 1890年代、アメリカンアイリッシュにおける社会的地位の向上について ―人種間関係を切り口として― |
内容 | 1800年代前半にアイルランドからの移民がアメリカに流入し始めてから、彼らは経済面・政治面など、あらゆる分野において社会的地位の向上を果たしてきた。こうしたアメリカンアイリッシュに関しては、これまでも多くの研究がなされてきた。しかし、一重にアメリカンアイリッシュといっても、アメリカに渡った時期や経済状況、地域によって、生活の仕方や考え方に多様性が生まれてくることが考えられる。ところがこれまでのアメリカンアイリッシュに関する研究において、こうした多様性はほとんど考慮されてこなかった。本研究ではこれを問題とし、1890年代のIrish World紙の分析をもとに、これまでの研究の問題点を指摘するとともに、アイリッシュと他人種との関係の形成について考察を行う上で、多様性という観点から視点を広げる必要性を示す。 |
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講評 | 「1890年代、アメリカンアイリッシュにおける社会的地位向上について―人種間関係を切り口として―」は、19世紀末アメリカにおけるアイリッシュによる社会地位向上観をとりあげ、ローディガーの「ホワイトネス」を適用した従来の解釈に対し、同概念による解釈の限界性を提示する。事例研究で明らかになったことは、アイリッシュの急速な社会上昇の原因を説明するために、ローディガーが提唱した「ホワイトネス」という概念は、1860年代という極めて限定的な時代状況にあるアイリッシュには妥当性が認められるが、時期を1890年代に設定すると、有効性が損なわれるということである。つまり、従来の研究とは異なり、アイリッシュの社会上昇研究の解釈において、「ホワイトネス」という概念を無原則に適用するのではなく、その概念使用の範囲(限界性)を提示したことになる。近年、アメリカ移民史研究において、明確な定義がなされていないがゆえに、「ホワイトネス」という概念が一人歩きし、多様な移民集団に関する研究において、万能薬のように乱用されている状況にあって、アイリッシュ集団の多様性への考慮を損なわないようにするためにも、「ホワイトネス」概念の限界性を提示する本研究のもつ意味は大きい。 |
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キーワード1 | アメリカ |
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キーワード2 | アイリッシュ |
キーワード3 | ホワイトネス |
キーワード4 | 多様性 |
キーワード5 | 19世紀 |