卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名立木 茂雄 年度2017年度
タイトル東日本大震災からみる障がい者の死亡率
内容 2011年3月11日14時46分、牡鹿半島(宮城県石巻市)の東南東約130kmの三陸沖深さ約24kmの地点を震源とするマグニチュード(M)9.0の「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」が発生した。最も激しい揺れを記録した宮城県栗原市で震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県で震度6強の揺れが観測された。揺れは全国各地に及び、鹿児島市や小笠原諸島(父島、母島)でも震度1が観測された。この地震による災害及びこれに伴う原子力発電所事故による災害を「東日本大震災」と呼ぶ。
この東日本大震災は日本全体に災害の恐ろしさを改めて認識させる大震災であったが、その一方、災害研究史上初めて、障がい者が何人亡くなったのかが市町村単位でわかった災害であった。
災害時の障害者の死亡率を説明する変数として、全体死亡率、浸水面積率、高齢化と漁業・農業従事率、津波到達時間、身体障がい者の施設入所率、の5つの変数が研究されてきたが、今回は、新たに「浸水域にある施設数」が障がい者死亡率を説明できるか、検証した。結果、浸水域にある施設数は、障がい者死亡率に関係していることが明らかになった。
講評 東日本大震災時の津波浸水マップを、公共施設の位置情報を示したマップを重ね合わせ、岩手県・宮城県・福島県の全沿岸部で、浸水域内の高齢者向け施設を一つ一つ丁寧に数えあげました。この作業をもとに「津波浸水域にある施設数」を変数化して、障がい者死亡率に対して有意な効果があることを実証した研究です。膨大な地図情報をコツコツと調べて数え上げるという根気のいる作業を、頑張って最後まで頑張り通しました。今後の防災対策の基礎になるファクトを積み上げることに成功しています。
キーワード1 災害弱者
キーワード2 障がい者死亡率
キーワード3 浸水域にある施設数
キーワード4
キーワード5