内容 |
私達の消費行動を決定づける要因の1つに流行がある。特にファッションに関して私達はシーズンごとの流行に合わせて服飾を決定している。では、私達はどのような動機を持って流行を採用しているのだろうか。本稿では、鈴木の提唱した流行採用の5つの動機のうち、属性ごとにどの動機が強く働いているのかを検討した。
結果、属性のカテゴリーによって流行を採用する動機の強さはわずかに異なっていたが、多くのカテゴリーでは『新奇的なものを求める動機』、『個性化と自己表現の動機』が最も動機として働いていた。しかし、流行研究の古典であるジンメルは、人々は同調と差異化によって流行を採用していると提唱していた(両価説)。本研究とジンメルの説に差が出たのは、本研究で「流行を気にする」と答えた人は早期流行採用者であるからではないかと考察した。この考察から、ジンメルの両価説は全ての流行採用者に当てはまらない、少なくとも早期流行採用者には当てはまらないのではないかと結論付けた。また、ジンメルの両価説が当てはまらない理由としてジンメルの時代と本稿の『日本人の生活価値観調査』が行われた時の日本の階級社会の違いがあるのではないかと考えた。 |