学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 藤本 昌代 | 年度 | 2018年度 |
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タイトル | 組織のフラット化による影響 ――体育会陸上競技部を事例として―― |
内容 | 組織はフラット化によって、トップダウン型の組織からボトムアップ型の組織へと変化することができる。その際に組織では何が生まれ、何が失われるのだろうか。 本論文の調査対象は、自身が所属する体育会陸上競技部である。2015年度のリーダーがおこなった“組織のフラット化”に焦点をあて、4年間(2015年から2018年)の組織変化を追う。自身による参与観察を踏まえ、半構造化インタビューを実施することで、ひとつの組織を4年という期間を通して細部まで捉えることを目的とした。どのタイミングで何が変化したのか、何が変わらなかったのか。また、その変化により組織ではどのような影響がもたらされたのか、メンバーにはどのような変化が起きたのか。本論文では、組織を時間的経過によって分析した上で、メンバーが持つ内在化した規範、行動、慣習の変遷プロセスを描く。 |
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講評 | 本稿は集団・組織で共有される規範が制度変革により、変化する過程をとらえる意欲作である。調査対象は大学の体育会であり、筆者は4年間の参与観察およびインタビューで情報を得ている。分析では制度の変化により、各学年に内面化されている規範や行動にどのような変化が起こるかを、制度変革前、変革直後、過渡期、変革の定着期と詳細に検討している。体育会は軍隊のような上下関係を想像されがちであるが、調査対象の組織は、ある時期の上級生がその上下関係を改善しようとフラット化を実現するために、学年にかかわらず、共同作業を行ったり、発言をしやすくするようなルールに改変した。その後、1年を経るごとに成員に内面化されていた上級生を敬うような態度は、1年目には残存し、下級生が上級生を配慮した行動をとっていたが、年々フラット化され、4年の経過で成員が対等の関係へと変化した。本研究では厳格な序列型組織はフラット化されたことにより、下級生でも発言しやすい環境が形成され、誰もが組織に影響を与えられると感じることができ、それが成員の能動的な参加につながり、成員の帰属意識が高まったと結論づけられている。 |
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キーワード1 | 規範 |
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キーワード2 | 組織構造 |
キーワード3 | 制度変革 |
キーワード4 | |
キーワード5 |