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『新世紀エヴァンゲリオン』が放送当初から現在に至るまで、人気を博し続けている理由は、やはり作品における現実的投影にあると考える。
『新世紀エヴァンゲリオン』の世界観における一つ重要な設定は「A.T.フィールド」である。「A.T.フィールド」は「エヴァ」と使徒が展開できる絶対防御バリアだと描かれているが、実は現実世界で生きる我々人間全員に存在しており、自我を守り、他人との適当な距離を保ってくれる「心理的距離」である。「A.T.フィールド」は私たちが「イマ」「ココ」で生きていることの現実的な写像である。
そして、『新世紀エヴァンゲリオン』は1990年代の日本社会と深く関連している。1990年代の日本において、1989年の「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件」に続き、バブル崩壊、「阪神・淡路大震災」、「オウム真理教事件」という一連の天災と人災により、日本社会では行き場のない閉塞感が充満していた。『新世紀エヴァンゲリオン』が描いた終末思想は、当時の日本社会における終末論の風潮とちょうど一致した。そして、主人公の碇シンジはまさしく1990年代の多く日本人、特に若者の写照であった。そのような社会背景のなかで、『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年以降に一大社会ブームになっていた。 |