卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名井上 智義 年度2015年度
タイトル使用言語によるジェスチャー表出頻度の変化
内容  本研究では身振りに関するいくつかの先行研究をふまえ、使用言語によって表出される身
振りの頻度には違いがあるのかということに関して、日本語・英語・中国語の3言語を用いて、18名の日本語母語話者を対象に、間違い探しの絵柄を提示し、絵柄の間違い箇所について3言語で説明させ、使用言語別の身振りの表出頻度を測定した。その結果3言語の身振りの表出頻度に有意差は見られなかった。そこで18名の被験者を、英語圏の国に1年以上の居住経験を持つ5名の「英語圏経験者」と、13名の「英語圏非経験者」に分け分析し、2要因の分散分析を行ったところ、全ての言語において英語圏経験者が非経験者よりも頻繁に身振りを表出する傾向があるという結果が得られた。また母語以外の言語の単語を思い出そうとする際、身振りの中でも特にビートの動きが増加する傾向がみられたことから、外国語学習や単語の暗記における身振りの重要性を確認することができた。
講評  本年度の私が担当する4回生ゼミでは、僅か3名の受講生であったが、二人がオリジナ
リティの高い心理学実験をおこない、もう一人も予備調査をしたうえでの質問紙調査を実施するなど、心理学的な手法を駆使して、興味深い内容研究を遂行することができた。昨年度の3回生のゼミでは、倍以上の受講生がいたものの、こちらが要求する水準の研究論文の作成には時間がかかることを予想してか、4回生ではゼミをとらなかった学生が多かったのではと推察している。ゼミは3回生や院生との合同で実施した回数も少なくなかったが、個別指導にも人数が少ない分、時間をかけることができた。その意味では、教員、学生双方に、恵まれた環境であったと言える。卒論試問と学科での評価が未定であるので、現時点(1月14日)でのこれ以上の評価は控えたい。
キーワード1 ジェスチャー
キーワード2 非言語コミュニケーション
キーワード3 自発的身振り
キーワード4 ビート
キーワード5