学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 平尾 桂 | 年度 | 2019年度 |
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タイトル | 家族のライフイベント・ストレス経験が子どもの向社会性に与える影響について |
内容 | 近年は、核家族化などの影響により、人間関係の希薄化が社会問題となっている。その一方で、現代は大震災や大雨などの自然災害の多発などにより、人々が互いに関心を持って他者や社会のために行動しようとする「向社会性」が求められる時代だと考える。 向社会性の発達にはどのような要因が影響を及ぼすのか。筆者は、子どもの頃に父親が単身赴任をしていた個人的背景から、子どもの時に家族が経験するストレスフルなライフイベントが、家族成員同士のきずなを高め、家族成員同士の助け合いである家事手伝いを子どもが行うことを通して、向社会性に影響を及ぼすのではないかと考えた。そして、仮説をもとに先行研究の検討と質問紙調査を実施した。調査の結果、向社会性はライフイベント、家族のきずなの強さ、それに子どもの家事手伝い頻度とは有意な相関関係を持たないことが明らかになった。しかし、家族がストレスフルなライフイベントを経験しているほど、子どもの家事手伝いの頻度が高くなることが確認された。 |
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講評 | 「家族のライフイベント・ストレス経験が子どもの向社会性に与える影響について」では、子どもの向社会性に対する家族生活経験の影響が調べられました。仮説は、家族がストレスを経験したとき、家族システムがそのストレスの克服を試み、そのストレス対処のプロセスが子どもの向社会性を促進する、というものです。家族システムのストレス対処は「子どもの手伝い行動」の量と家族システムの「きずな」(凝集性)の変化という観点から測定されました。結果として、家族ストレス経験、手伝い行動、きずなの何れも子どもの向社会性得点には有意な効果を持たず、仮説は棄却されました。これは、主として、向社会性得点の分散が小さかったためと思われます。家族ストレス経験は子どもの手伝い行動の量に有意な効果を持ち、また、家族のきずなにも有意に近い効果を持っていることが示されたので、向社会性の測定尺度を大きい分散が得られると期待できるもの、たとえば、行動を中心とした質問項目に変更することによって、有意な結果が生じることが期待できるとも考えられます。 |
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キーワード1 | 向社会性 |
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キーワード2 | ライフイベント |
キーワード3 | 家族のきずな |
キーワード4 | |
キーワード5 |