卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名平尾 桂 年度2019年度
タイトルなぜYouTubeは若者を惹きつけるのか
内容 近年、若者のテレビ離れが進んでいる。その一方、YouTubeやYouTuberが話題に上がることは多い。そこで、「なぜYouTubeは若者を惹きつけるのか」「テレビと比較した際のYouTubeの魅力は何なのか」という疑問を元に研究を行った。先行研究から、YouTubeの媒体としての特徴である「利便性」、コンテンツの特徴である「親近感」「独自性」、この3つがYouTubeの魅力であるという仮説を立てた。また、YouTube利用を視聴やコメントを読む「YouTube消費」と、コメントをしたり高評価・低評価をする「YouTube参加」の2つに分けて調査した。さらに、YouTube消費の中の視聴をYouTuberが投稿した「オリジナル映像」とテレビ番組の無断転載などの「非オリジナル映像」に分けた。分析を行った結果、映像を視聴するメディアにおいて「利便性」「親近感」「独自性」を重視している人ほど、テレビ利用よりもYouTube利用が盛んになることが明らかになった。また、「オリジナル映像」をよく視聴している人は、「非オリジナル映像」をよく視聴している人よりも「親近感」「独自性」をより重視していることも明らかになった。
講評 「なぜYouTubeは若者を惹きつけるのか」は、若者たちのテレビ離れとYouTubeが人気を博している要因を、メディアの「利便性」、「親近感」、「独自性」に対する利用者の知覚という観点から明らかにしようとした研究です。メディアエンゲージメントが皮下注射モデルから受信モデル、さらに参加型文化モデルに移行しつつあるという主張を基盤として、YouTube利用における消費度(主として視聴)と参加度(コメント付与など)も検証されました。この結果、YouTubeは参加型のメディアとしての側面が強調されているものの、現時点では、多くの利用者は「参加」はしておらず、もっぱら「消費」に携わっているということが明らかになりました。その結果、メディアの利便性、親近感、独自性などの知覚は、YouTube「参加」には有意な効果持ちませんでした。しかし、「消費」に対しては「利便性」と「独自性」が有意な効果を持っていることが明らかになりました。小学生ではなりたい職業の上位にYouTuberがあげられるなど、生まれたときからスマホ世代の母集団では、参加度が高くなっているかもしれません。テレビからスマホ・ネットへの過渡期を経験している世代とのメディア「参加」の違いはこれからの興味深い考察対象になっていくと思われます。
キーワード1 YouTube
キーワード2 消費行動
キーワード3 参加行動
キーワード4
キーワード5