卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名藤本 昌代 年度2020年度
タイトル地方銀行のSDGs・CSRの取り組み―地方銀行30行の比較―
内容 本稿は、地方銀行のSDGs・CSRの取り組みに焦点を当て、地方銀行のホームページなどからSDGsやCSRについて書かれている記事の内容分析を行い考察したものである。地方にある企業の方がCSRなどに対する取り組み内容が多いと書かれている先行研究と都市部にある企業の方が「外圧」の影響でSDGsなどに熱心であるという矛盾した先行研究を見つけた。そこで、人口差による比較をするために人口が多い都道府県トップ10とワースト10の都道府県に本店所在地がある地方銀行、計30行を抽出し分析を行った。分析結果は、人口の多い地域にある地方銀行の方がSDGsの取り組みについて抽象的に書かれていることが多く、銀行の業務に関するものが多かった。人口の少ない地域にある地方銀行は、取り組み内容が具体的に書かれているものが多く、SDGsの取り組みの専門レポートを発行している銀行もあった。取り組み内容も、地域の課題を解決するために銀行業とはかけ離れた取り組みが多かった。このような結果が起こる要因を、SDGsやCSRを行う対象・目的に着目して明らかにしていく。
講評 本稿は言葉だけが先行する「SDGs」に対する企業の理解、実践について、ホームページ上の情報収集を行い、都市部の大手銀行と地銀の違いを質的に検討したものである。本稿ではSDGsの理解のために17個の項目を的確に説明する論文の検索、要約を行っているが、17本の引用できる論文を見つける作業は非常に根気の必要な作業であり、見つかりにくい項目を説明した論文も努力して検索し、要約されている。さらに、著者は都銀と地銀の比較規準の整理、各銀行の姿勢を読み取るために、使用方法が難しい質的データ分析ソフト(NVIVO)のオペレーションを習得し、分析を行っている。全ての作業において、学部生の手に余るような作業であったが、著者は最後まで集中して分析を行っている意欲作である。分析結果も都銀と地銀のパラドキシカルな関係を示した論文に仕上がっている。
キーワード1 SDGs
キーワード2 CSR
キーワード3 地方銀行
キーワード4
キーワード5