内容 |
本稿は筆者自身が小学4年次と5年次に書いていた日記ログを参照し、当時所属していた社会の中でどのようにして社会的自我を発達させていたのかを考察したものである。日記ログのコレスポンデンス分析から、筆者は児童期において、社会と関係を結び、そして重要な他者たちと多様なコミュニケーションを行うことで、児童期の発達課題を達成しつつ、社会的自我を十分に発達させることができていたということがわかった。当時の筆者が、自分のやるべきことやしたいことを自分で見つけ、全力で取り組んでいたことが読み取れた。その中で関わる重要な他者との相互作用を通じて、筆者の「勤勉性」が育まれ、「有能感」を得ることによって児童機の発達課題を達成していた。さらに、友人や先生といった複数いる重要な他者の個人的態度や期待を取得していただけでなく、複数の他者の態度や期待を「一般化された他者」として自己の中に取り込むことができていたということがわかった。そして、「me」という客我を持ち、「こうであるべきである」というような観念を持ちながら、それに対して時には従順に、時には反抗的に「I」という主我を持って「me」に反応することで、「創発的内省」を繰り返し、自我を発達させていた。 |