内容 |
本研究の目的は,現代の大学生が社会で求められているヒューマンスキルを向上させるために,目指すべき人間関係の形を明らかにすることである.回答者のヒューマンスキルを測る質問と回答者が結束型SC(ソーシャル・キャピタル)と橋渡し型SCをどれほど保持しているかを測る質問を作成し,大学生・大学院生にWebによるアンケート調査を行った.その結果,結束型SCと橋渡し型SCのどちらもヒューマンスキルと高い相関があること,そして,結束型SCの中でも互酬性,橋渡し型SCの中でも付き合い・交流の要素がヒューマンスキルと強い正の相関があることが確認された.また,結束型SCと橋渡し型SCも正の相関関係があり,実際にどちらのSCも多く持つ高資源型の大学生が多数いることが確認された.さらに,人間関係を多く持っていても,それらを信頼しすぎることはヒューマンスキルを向上させるにあたって負の影響を示すことがわかった.
結果,ヒューマンスキルを向上させるためには,同質的なネットワークとの繋がりを大切にしながらもより広い人間関係を構築し,人に頼りすぎないような他者との関わりを目指すべきであり実現可能であるということを,定量的に示すことができた. |