学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 藤本 昌代 | 年度 | 2021年度 |
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タイトル | 葬儀から見る現代の儀礼的行為 |
内容 | 本稿では葬儀に注目し、現代の儀礼的行為とその意味合いを明らかにするため、京都市内の葬儀屋X社に1ヵ月間参与観察を行い、葬儀業者の遺族に対する行為を直接観察した。また、葬儀業に従事する16名に対して、インタビュー調査行った。結果として、3点のことが明らかになった。第1に、家族葬の普及から、葬儀は世間体よりも故人を重視するものへと変化した。第2に、寺院との関係が深い京都の地域的特性から、京都の葬儀の変遷は一般的な葬儀の変遷に比べて20年ほどの遅れがみられた。第3に、葬儀用ホールの登場を機に、葬儀業は専門職からサラリーマン的な職業に変化したことで、特殊な職業とされていた葬儀業界の敷居が低くなった。葬儀が「こうあるべき」という規範意識は、時代や社会に適応したかたちに変化している。これは、葬儀だけではなく、儀礼的行為全般に当てはまると考えられる。 |
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講評 | 本稿は儀礼的行為の中でも、人々にとって最も重要な儀式である葬儀が近年、簡略化される背景に着目し、現代社会における社会と個々の世帯との関係を葬儀職という専門職の行為を通して解き明かされた論文である。本調査はコロナ禍の中、実際の葬儀の場での1カ月間の参与観察という長時間をかけた調査研究である。調査地は京都市であり、近年のわずか10年の間に知人、友人、近隣住民が会葬する「社会葬」であった「葬式」が親族のみの「家族葬」になった経緯が描かれている。調査によって葬儀の何が省略され、何が残されているのか、人々は葬儀に何を求め、社会に対して葬儀の意味をどのように変えていったのかがわかりやすく捉えられている。調査では葬儀業の変化においても、関連業種への聞き取りも行われ、葬儀という儀式の小規模化による産業連関の変化も示されている。本研究は誰もが経験する葬儀でありながら、詳細は知られていないという状況の中、なかなか得られない葬儀職についての貴重な調査記録でもある。 |
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キーワード1 | 葬儀 |
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キーワード2 | 儀礼的行為 |
キーワード3 | 職業分析 |
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