卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名JENNIFER MARY MCGUIRE 年度2021年度
タイトル女性に対する就活市場の抑圧 ―キャリアプランと性別役割分業―
内容 男女雇用機会均等法などにより労働社会における男女平等がうたわれて久しいが、「女性はいずれ結婚出産を機にキャリアを中断する」というような近代家族モデルに基づいた性的役割分担意識は、未だに就職市場にも根強く残っている。女性に対するステレオタイプに基づき画一的なキャリアプランを前提としたアピールが行われている企業のジェンダー意識に、就活生である女子大学生は何を感じるのか。そこで本稿では女性のキャリアプランに関する先行研究も参照しながら就職活動を経験した女子大学生にインタビューを行い、それぞれのライフプラン及びキャリアプランと就職活動の相互影響についてヒアリングしてその実態を紐解いていく。結果、彼女たちの結婚出産に関する意識は現在の恋人の有無に左右されることや結婚出産への積極性で企業アピールへの意識に差が出ることなどのライフコースに対する影響が見えてきた。また女性に対してのみ育児休暇取得実績などをアピールされることに大小はあれど違和感を持っているという実情も明らかになった。
講評 本年度は11本(英語5本、日本語6本)の卒論が執筆された。しっかりした内容で書かれたものと未熟なものの差が目立った。差が生じた原因として考えられるのは、3回生のとき作成した企画書を研究スケジュール通りに順調に進めた学生と先延ばしにされてしまって、なかなか上手に進められなかった学生の違いである。

卒論の質の差があるにかかわらず、どの論文も人類学的なまたは社会学的なアプローチと理論の理解については、ある程度のレベルが見えた。今年度の研究テーマは①Japan’s recurrent education (日本におけるリカレント教育) ②「早生まれ」と性格形成 ③ SNSとナショナルアイデンティティの揺らぎ ④ ライフステージと趣味への影響 ⑤ Single parent homes and juvenile delinquency (ひとり親家族と少年非行) ⑥ Homelessness in Japan (日本におけるホームレス問題の現状) ⑦ 在日中国人学生の自国友人関係 ⑧ Impressions of Japan by returnees (帰国子女による日本への印象) ⑨ Japanese subculture experiences among Chinese exchange students (中国人留学生における日本のサブカルチャー経験) ⑩ 「日本人」の捉え方 ⑪ 女子大学生のライフコース及びキャリアプランと就職活動である。

調査方法に関しては、ほとんどのゼミ生が半構造化インタビューを行い、中には資料分析及びアンケート調査を行った学生もいる。インタビュー調査を中心として行った学生は、効果的なインタビューガイドを作成し、対象者と良いラポール形成ができたと思われる。その一方で、理論的な分析、概念的な枠組みに関しては不十分のものもあった。

コロナによって、2年間、教育及び調査への悪影響があったにも関わらず、全員が卒業論文を完成させることができたので、誇りを思ってほしいと思う。卒業後も、このような大変な経験を生かして、どんな困難な状況でも諦めず、成果が出るまでやり遂げてほしいと思う。
キーワード1 女性
キーワード2 ライフプラン
キーワード3 就活市場
キーワード4
キーワード5