卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名JENNIFER MARY MCGUIRE 年度2021年度
タイトル「日本人」とみなす要素による多文化共生の可能性を再考 ―同志社大学生への意識調査に基づいて―
内容 日本社会では、在日コリアン、混血、日系人、帰化者などのマイノリティーが暮らしている。いままでの研究では、政策面からマイノリティーについて考えることが多く、実際にマイノリティーの受け入れに対して「一般的な日本人」はどのように考えているかについての研究が少ないようだ。従って、一般「日本人」が考える「日本人」像を調査し、「非日本人」の受け入れにどのような影響を与えているか、移民社会においてこれから日本社会で多文化共生達成の可能性について研究を展開した。結果として、マイノリティーたちを積極的に受け入れる傾向が見られるというのが確実であるが、「日本人」を同一意識、言語、文化を持つ集合体として、「シビック・ナショナリズム」的な考えが未だに強いという傾向を示している。従い、多文化共生に対して肯定的な考えを持つ人が増えるものの、「日本人」が主、「非日本人」が従という、限定的な多文化共生になってしまうのではないかも懸念しなければならない。 
講評 本年度は11本(英語5本、日本語6本)の卒論が執筆された。しっかりした内容で書かれたものと未熟なものの差が目立った。差が生じた原因として考えられるのは、3回生のとき作成した企画書を研究スケジュール通りに順調に進めた学生と先延ばしにされてしまって、なかなか上手に進められなかった学生の違いである。

卒論の質の差があるにかかわらず、どの論文も人類学的なまたは社会学的なアプローチと理論の理解については、ある程度のレベルが見えた。今年度の研究テーマは①Japan’s recurrent education (日本におけるリカレント教育) ②「早生まれ」と性格形成 ③ SNSとナショナルアイデンティティの揺らぎ ④ ライフステージと趣味への影響 ⑤ Single parent homes and juvenile delinquency (ひとり親家族と少年非行) ⑥ Homelessness in Japan (日本におけるホームレス問題の現状) ⑦ 在日中国人学生の自国友人関係 ⑧ Impressions of Japan by returnees (帰国子女による日本への印象) ⑨ Japanese subculture experiences among Chinese exchange students (中国人留学生における日本のサブカルチャー経験) ⑩ 「日本人」の捉え方 ⑪ 女子大学生のライフコース及びキャリアプランと就職活動である。

調査方法に関しては、ほとんどのゼミ生が半構造化インタビューを行い、中には資料分析及びアンケート調査を行った学生もいる。インタビュー調査を中心として行った学生は、効果的なインタビューガイドを作成し、対象者と良いラポール形成ができたと思われる。その一方で、理論的な分析、概念的な枠組みに関しては不十分のものもあった。

コロナによって、2年間、教育及び調査への悪影響があったにも関わらず、全員が卒業論文を完成させることができたので、誇りを思ってほしいと思う。卒業後も、このような大変な経験を生かして、どんな困難な状況でも諦めず、成果が出るまでやり遂げてほしいと思う。
キーワード1 多文化共生
キーワード2 「日本人」観
キーワード3 マイノリティー
キーワード4
キーワード5