卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名JENNIFER MARY MCGUIRE 年度2021年度
タイトル「早生まれ」における生まれ月性格形成仮説 幼少期の経験による人間関係や性格形成への影響について
内容 本稿は、いわゆる「早生まれ」と呼ばれる1から3月生まれの人々の幼少期の経験や人間関係に注目し、彼らがどのような影響を受けて性格を形成していくのかを明らかにするものである。先行研究から見えてきた幼少期のハンデとその影響について半構造化インタビューを実施した結果、多くの場合で彼らは「早生まれ」の影響を受けていることが示唆された。例えば幼少期にスポーツをしていた場合、「早生まれ」のために周りの同級生よりも劣っていることが多い。その結果、「負けず嫌い」や「努力家」といった性格になりやすい。また「早生まれ」であることを心配した保護者による配慮などで周りの同級生よりも早く学習塾に通うなどの環境や人間関係が性格形成に大きな影響を及ぼすことがある。さらには以上の例以外にも能力的な遅れからリーダーになることが少ないことにより控えめな性格になることなど「早生まれ」が彼らの性格形成に多大な影響を与えていることが明らかになった。
講評 本年度は11本(英語5本、日本語6本)の卒論が執筆された。しっかりした内容で書かれたものと未熟なものの差が目立った。差が生じた原因として考えられるのは、3回生のとき作成した企画書を研究スケジュール通りに順調に進めた学生と先延ばしにされてしまって、なかなか上手に進められなかった学生の違いである。

卒論の質の差があるにかかわらず、どの論文も人類学的なまたは社会学的なアプローチと理論の理解については、ある程度のレベルが見えた。今年度の研究テーマは①Japan’s recurrent education (日本におけるリカレント教育) ②「早生まれ」と性格形成 ③ SNSとナショナルアイデンティティの揺らぎ ④ ライフステージと趣味への影響 ⑤ Single parent homes and juvenile delinquency (ひとり親家族と少年非行) ⑥ Homelessness in Japan (日本におけるホームレス問題の現状) ⑦ 在日中国人学生の自国友人関係 ⑧ Impressions of Japan by returnees (帰国子女による日本への印象) ⑨ Japanese subculture experiences among Chinese exchange students (中国人留学生における日本のサブカルチャー経験) ⑩ 「日本人」の捉え方 ⑪ 女子大学生のライフコース及びキャリアプランと就職活動である。

調査方法に関しては、ほとんどのゼミ生が半構造化インタビューを行い、中には資料分析及びアンケート調査を行った学生もいる。インタビュー調査を中心として行った学生は、効果的なインタビューガイドを作成し、対象者と良いラポール形成ができたと思われる。その一方で、理論的な分析、概念的な枠組みに関しては不十分のものもあった。

コロナによって、2年間、教育及び調査への悪影響があったにも関わらず、全員が卒業論文を完成させることができたので、誇りを思ってほしいと思う。卒業後も、このような大変な経験を生かして、どんな困難な状況でも諦めず、成果が出るまでやり遂げてほしいと思う。
キーワード1 「早生まれ」
キーワード2 生まれ月性格形成仮説
キーワード3 人間関係
キーワード4
キーワード5