学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 轡田 竜蔵 | 年度 | 2022年度 |
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タイトル | ローカルに向かう芸人たち ―地方へ目を向け見えたもの― |
内容 | 近年、建築家やデザイナーが地方移住によって地域に貢献することで評判を上げる機会が拡大しており、クリエイティブ職における地方進出の重要性が増している。お笑い芸人の世界においても同様で、都道府県への住み込みや二拠点生活など地方に拠点を持ちながら活動している芸人が存在する。本稿では、そのような「特定の拠点をもつ芸人」と「拠点を持っていない芸人」約20名にインタビュー調査をし、彼らの考える成功とは何か、拠点での働き方・暮らし方が生活満足度やキャリア意識にどのような影響を及ぼすかに注目した。その結果、芸人人生のなかで初めから地方進出を計画していた人は少なかったものの、地域との関わりを通して地方進出した全員の生活満足度が向上していることがわかった。そして、今後のキャリアプランとして、地方での自由な表現を好み定住を意識する人、地方での活動を経験と捉え都市部への再進出を目論んでいる人、拠点内で絶対的な知名度を得たいと考える人、地域と繋がり続け拠点を更に盛り上げたい人の4つのパターンが存在した。どのパターンも、芸人として生き続けるための選択肢であり、ローカル芸人には多様な成功の形があることが確認できた。 |
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講評 | 近年、非標準的労働編成の広がりに注目し、そのキャリアに関する社会学的研究が盛んである。また、地方移住研究では、キャリア志向の強いクリエイティブ層の移住の増加に注目が集まっている。「ローカルに向かう芸人」に関する調査に基づく本論文の議論は、そうした学術的文脈を踏まえており、評価できる。筆者によると、芸人が「ローカルに向かうこと」は、中央で開催される大会での受賞や番組での活躍という正統ルートとは異なる「成功」の道筋で、それも4パターンに分岐するという観点が、20人の芸人への精力的なインタビューから説得的に示される。本論文では、ローカル芸人の生活満足度の高さが強調されるが、それでは「不満」や社会的課題の所在はどこにあるのか。あるいはキャリア達成に「失敗」した場合は、どう現実と折り合うのか。社会学の研究としては、そうした点も深めてみたい。 |
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キーワード1 | 芸人 |
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キーワード2 | 地方移住 |
キーワード3 | ローカルキャリア |
キーワード4 | |
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