学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 轡田 竜蔵 | 年度 | 2022年度 |
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タイトル | 地方公務員の仕事におけるやりがい・楽しさについての調査 ―愛媛県庁・松山市役所職員へのインタビューから― |
内容 | 本論文における最も大きなテーマは「地方公務員の仕事は楽しいのか」である。これは公務員の仕事に対し、“安定”や“地元就職の手段”というイメージが先行し仕事そのもののやりがいや楽しさについてあまり触れられていないと筆者が感じたことがキッカケである。そもそも公務員の“安定”は職員数の減少や非正規公務員の増加によって徐々に失われており、ローカル・トラックの問題も依然として存在する。増加する業務に対し少ない人数で対処するために、そして仕事に対する満足度を上げるために新しい働き方が求められる時代に突入している。そこで本論文では愛媛県庁職員3名、松山市役所職員16名にアンケートを実施し、うち9名に追加で1時間程度のインタビューを行った。その結果として、仕事の満足度はおおむね高く、特に職場環境とやりがいに関しては良い評価が多かった。ただし収入や職場の将来性についてはネガティブな評価も一定数あり、将来的に見ても”安定”とは言い難い。改革が必要だとする声もあり地方自治体は転換期にあると感じた。 |
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講評 | 地方公務員の働き方の現在について、質問紙とインタビューの混合的な調査方法でアプローチしている。筆者は、ほぼ全員に「地元就職志向」が基底的であることを見出し、そのうえで、モチベーションのあり方が①安定志向、②社会貢献志向、③向上志向の3つに分岐するという。官民共創が重視される時代にあって、民間の試みの「サポーター」としての役割を強調する語りが興味深い。「とりあえず安定」とは言えなくなった時代の地方公務員の働き方の現在を照らし出す論文である。組織内の地位や部署や仕事内容のバリエーションに目配りをし、断片的な語りの分析にとどまらず、個々の意識の経時的変化を捉える等の工夫をしたい。また市役所や県庁の働き方改革への取り組み等、具体的事例から地域的文脈を深められれば、ローカル・トラック論が書かれた25年前からの変化も明確になると思う。 |
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キーワード1 | 公務員 |
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キーワード2 | 仕事のやりがい |
キーワード3 | 安定就職 |
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