卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名小林 久高 年度2022年度
タイトル社会変革意識からみる若者保守化の構造
内容 本稿は、現代日本の若者による社会運動の縮小という実態から、なぜ社会変革意識の低減が起きているのかを明らかにすることを目的とする。現代日本の若者は厳しい状況に置かれているにもかかわらず、デモや社会運動といった行動を起こすことが少ない。同志社大学の学生への調査データから、低学歴層と比較すれば革新的であるとされる高学歴層の若者においても、保守的傾向がみられることがわかった。さらに、個人主義的価値観、社会肯定意識、政治的無力感が若者の意識的な保守化要因であることを明らかにした。
しかしながら、現代の若者は社会や政治に関心を持っていないわけではない。日本の危機的状況を目の前にしても、変えたいという意識を行動に移させない社会構造が存在しているのである。そのような社会構造の中で生まれた個人主義的価値観や社会肯定意識、政治的無力感が、より一層若者をデモのような具体的な政治行動から遠ざけ、社会変革意識を低減させていくことを提示した。
講評 数年にわたる大学生対象の調査データを再分析した力作。若者は「自分が安心感を得るために同調しているのであって、集団のためを思って同調しているわけではない。… 自己防衛的かつ利己的な動機で同調しているのである」という分析にははっとさせられる。「デモ不参加意識」ではなく「デモ参加意識」で分析した方がわかりやすくなったと思う。
キーワード1 保守化
キーワード2 社会運動
キーワード3 個人主義的価値観
キーワード4 社会肯定意識
キーワード5 政治的無力感