学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 藤本 昌代 | 年度 | 2022年度 |
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タイトル | パンデミックのリスク認知は何をもたらしたか |
内容 | 本論文では、Beckの主張する「リスクは平等的に降りかかるが生起する被害の大小は個人間で差異がある」としたリスク社会論を元にして、新型コロナウイルス感染症が社会に引き起こした被害を①都道府県ごとに異なる企業倒産や、②個人の属性で異なる失業として捉え、白書や統計データを用いた計量的な分析を行った。コロナ禍での企業の倒産は、経済規模が小さい地域や経済活動が停滞せざるを得なかった地域で発生していた。また個人失業は、対面での業務形態に制限がかけられたということもあり、飲食・宿泊に関連したサービス業で多く起こっていた。その中で働く女性や低学歴な者にとっては、経済的に大きなリスクとして知覚されることになった。最終的な結果として、Beckの理論とパンデミック下の日本には、適合性があったと考えられた。それは、感染症に罹患するリスクそのものは社会に生きる全員に対して降りかかっていたが、生活に影響を及ぼしうるほどの大きな被害を受けたのは、従来から格差があり経済的リスクが放置されてきた人々であったからである。 |
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講評 | 本稿は、Beckの世界的な規模のリスク論に挑戦した意欲的なものである。Beckの著作、リスクについての理解を深めるのは難しかったようであったが、その中で、官庁データの単純集計データを用いて、地域的に有意な所と不利な所の比較、経済的、失業等で厳しい状況に置かれた人々を属性別で示すなど工夫をしている。もっと文献を読み込んで理論論文に仕上げたり、統計スキルをマスターして項目間の関係分析をしたりできていたら、より論理を深められたと思われる。 |
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キーワード1 | Beck |
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キーワード2 | 新型コロナウイルス感染症 |
キーワード3 | リスク |
キーワード4 | |
キーワード5 |