学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 藤本 昌代 | 年度 | 2022年度 |
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タイトル | コロナ期においてスマートフォンを持たない高齢者は、どのように人間関係を維持・構築したのか |
内容 | 新型コロナウイルスの流行により、我々は他者とのフェイス・トゥ・フェイスでの交流を避けなくてはならない状況に追いやられた。そのような中でスマートフォンの存在は家族や友人との人間関係を維持・構築することに大きく寄与した。その一方でこのような機器を利用する割合の少ない高齢者はどのようにして他者との交流を行っていたのか。この点について本稿では、パットナムによる「薄い信頼」の他者と一般的互酬性の関係や、宍戸による高齢期の人間関係と幸福感に関する研究に触れながら、郡部と都市部に住む男女を対象にして調査を進めた。結果、郡部の人々は「薄い信頼」の他者と密に交流することに成功していたが、都市部の人々にはそれが不可能であったことがわかった。さらに、郡部に住む男性は都市部に住む男性よりも、自身の妻と深く関わろうとする傾向が非常に強いことも明らかにすることができた。 |
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講評 | 本稿はコロナ禍で社会とのつながりが少なくなりがちと思われる高齢者の人間関係について地域間の傾向差を分析したものである。都市部と郡部の高齢者がそれぞれの地域の「薄い信頼」の他者とどのようなコミュニケーションを行っていたかということについて聞き取り調査を行っている。本研究は先行研究から分析枠組みを組み立て調査設計を行っていることから、分析がわかりやすく示されている。分析結果は、郡部の人々は村落共同体で閉鎖的を考えられていたが、「薄い信頼」の他者と密に交流することに成功しており、また、妻とも深く関わろうとしていた。それに対して都市部の人々には「薄い信頼」の他者との妻との深く関われていなかった。本稿は、コロナ禍では郡部より都市部の高齢男性の方が孤独であったことを発見している。 |
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キーワード1 | 高齢者 |
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キーワード2 | 「薄い信頼」の他者 |
キーワード3 | 人間関係と幸福感 |
キーワード4 | |
キーワード5 |