学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 板垣 竜太 | 年度 | 2022年度 |
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タイトル | ビニロンと李升基はどう語られてきたか―東アジアの記憶の場としてのビニロンと李升基― |
内容 | 本稿は、合成繊維であるビニロンと北朝鮮の科学者である李升基の歴史と地域別の認 識のされ方を、「東アジアの記憶の場」の観点から分析した。ビニロンは「合成一号」や「主 体繊維」、李升基は「科学朝鮮のパイオニア」や「人民科学者」などと、時代と場所によって それぞれの社会的な背景から異なる意味と呼び方が存在した。また、現在の日本と韓国、北朝 鮮でそれらの知名度は大きくことなっている。日本では忘却されており、韓国でも90年代まで は言及が禁忌とされていた。90年代以降からは韓国でビニロンと李升基に関する研究や書籍が ときに出されるようになったが、その語られ方は「忘れられた」発明品と科学者に留まってい る。日韓とは対照的に、北朝鮮では現在にもビニロンと李升基が持つ人気と権威は大きい。そ ういった日本と韓国、北朝鮮のそれぞれのビニロンと李升基の「記憶の場」の形成は、日本の 朝鮮人に対する同化政策や朝鮮半島の南北分断から読みとれるもので、現在の東アジアに影響 し続けている植民地主義と冷戦構造の表象である。 |
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講評 | 『東アジアの記憶の場』(2011)はもともとパイロット版として編集した本だが、その後、特に展開できていない。本論文は、ビニロンという合成繊維とそれを発明した李升基が、日本(戦前、戦後)、朝鮮(解放前、解放後の南北朝鮮)でそれぞれどのように記憶されてきたか(こなかったか)という全体像を把握することを試み、工業製品と人物の組み合わさった「東アジアの記憶の場」論を展開したものである。戦前の日本/朝鮮で出た文献、戦後の南北朝鮮で出た文献を丹念に調べあげ、それらを組み合わせて、独自の記憶のマッピングをおこなった点は評価したい。記述のうえでは歴史事実の単純化がところどころ見られるし、ここまでやったのであればもっと大胆に理論的な革新を試みてほしいという思いもあるが、学部の卒業論文としては優秀なできばえである。 |
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キーワード1 | 東アジアの記憶の場 |
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キーワード3 | ビニロン |
キーワード4 | 李升基 |
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