卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名立木 茂雄 年度2022年度
タイトルソーシャルキャピタルの視点から見た地域コミュニティの防犯性 「神戸市自治会・マンション管理組合調査2007・08年パネルデータの固定効果モデルによる分析」
内容 ソーシャルキャピタル(SC)と地域コミュニティの防犯性の因果関係についての実証研究である立木・松川(2012)の分析を基に、ポルテス(Portes1998)が指摘する集合財としてのSC研究での4つの方法基準の内、本研究では「外部要因の統制」に重きを置いて分析を行った。交絡因子を統制するために、2007年・08年パネルデータを用いて固定効果モデルを用いた分析を①因子得点、②素点平均点の二通りで行った。分析①の結果、形成促進5要因全てがSC量を説明する関係が見られ、中でも興味・愛着喚起、イベント活用、多様な住民参加によって地域の犯罪件数減少を説明する関係が見られた。一方で分析②ではSC量を説明していたのは、組織の自律力確保のみであった。また、無作法性については、①では無作法性を説明する変数はなく、②ではSC量ではなく、SC要因であるあいさつやイベント活用が直接無作法性に作用していた。このように、固定効果モデルを用いた分析により、これまでの先行研究で見られなかった変数間の関係や新たな因果の方向性が示唆されるものになった。
講評 筆者は、神戸市消防職員を目指して大学4年間努力してきました。そこで、卒論も、ズバリ「社会関係資本は、犯罪や放火を抑止できるか?」というストレートコースど真ん中のテーマに設定し、2007年と2008年の神戸市自治会役員への社会調査データを、郵便番号地区単位での縦断的(パネル)データに変換し、「2007年から2008年にかけての各地区内での社会関係資本の増減が、犯罪認知件数や放火件数の時間的変動を左右していたのか」を厳密な計量経済学の手法を用いて検証しました。このために3回生から神戸市データベースをパネルデータ化するための地道な作業とパネルデータ分析のためのSTATAの勉強を並行して進め、4回生からは1年間かけて計量分析を行いました。ガッツのかたまりの作業から消防の警防活動に直接寄与する実践的な成果が得られました。
キーワード1 ソーシャルキャピタル
キーワード2 固定効果モデル分析
キーワード3 外部要因の統制
キーワード4
キーワード5