学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 轡田 竜蔵 | 年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|
タイトル | 積極的休学とは何か |
内容 | 本稿は、積極的に休学する大学生の、休学の背景と休学で得られた結果を調査した。 前提として、積極的な休学には、「就職」という概念があり、そのうえで、休学を「自己要素」と「社会要素」の2つに分類した。前者は、自分のやりたいことがわからないため、休学という手段を使用し、時間を取って自分と向き合うことで、大学卒業後、自分のやりたいことを積極的に考えるタイプの休学を指す。 後者は、既存の社会システムに違和感を覚え、そのシステムと距離を取る、あるいはそのシステムに抵抗するために休学したものを指す。 休学経験者は、「自己要素」も「社会要素」も両方持つ。そのうえで、休学を通じ、自分自身や社会を見つめ直した。その結果、休学経験者は、自分や社会のことを深く知って生きるようになったという知見を得た。すなわち、「休学」は休学経験者の人生に大きな影響を与え、休学経験者の視野や価値観を広げるものであったといえる。 |
---|
講評 | 「休学」という社会現象に着目した創造的なテーマ設定で、筆者自身の休学体験も踏まえた、粗削りながら豊かな洞察のある論文である。「積極的休学」とは、病気や経済的な理由に基づく「消極的休学」、あるいは留学を目的とした休学を除く概念であり、該当者数名に取材をしている。具体的には、教育系ボランティアのプロジェクトへの参加を通してオルタナティブ的な生き方を獲得することを目的にする類型と、自分のアイデンティティを言語化することを目的とする類型に分かれるという。就活の早期化、そしてカリキュラムの厳格化の影響のなかで、大学がモラトリアムの場でなくなったことが「積極的休学」が重視される時代背景にあるという指摘は興味深い。こうした「積極的休学」志向は、フリーターやニート等の他の属性の「モラトリアム」志向とどう区別されるのか、さらに考察したい。 |
---|
キーワード1 | 休学 |
---|---|
キーワード2 | 就職 |
キーワード3 | モラトリアム |
キーワード4 | 社会への違和感 |
キーワード5 |