内容 |
本論では、日本で近年ブームのサウナがサードプレイスとして人々の居場所になりうる可能性について検討していく。衰退産業である日本の浴場文化の刷新と、地域コミュニティの活性化につながるのではないかを問いに、理論編では、日本とフィンランドの浴場文化の相違点と共通点を明確にしていく。フィンランドの公衆サウナブームでは、多種多様なクリエイティブなサウナ施設が見受けられ、日本のサウナ施設も同様の傾向がみられる。調査編では経営者と利用者に対するインタビューを行い、両視点から日本サウナの現状をより現場感覚から明らかにする。調査で判明したのは、経営者たちは日本のサウナがフィンランドサウナのようにサードプレイスとして地元住民や観光客など様々な交流が生まれる居場所として機能することを思い描いている。それに対して利用者側はサウナの存在意義を「ととのう」ことだと認識しており、それはあくまで自身が日常で溜まったストレスからの脱却である。それ故に気遣いせずに過ごせる身内間でのみの交流、または一人きりの時間を望んでいることが判明した。つまり経営者側と利用者側とでサウナに対する認識にギャップが生じていると推察している。 |