卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2023年度
タイトルフィンランドから学ぶサウナのサードプレイス論
内容  本論では、日本で近年ブームのサウナがサードプレイスとして人々の居場所になりうる可能性について検討していく。衰退産業である日本の浴場文化の刷新と、地域コミュニティの活性化につながるのではないかを問いに、理論編では、日本とフィンランドの浴場文化の相違点と共通点を明確にしていく。フィンランドの公衆サウナブームでは、多種多様なクリエイティブなサウナ施設が見受けられ、日本のサウナ施設も同様の傾向がみられる。調査編では経営者と利用者に対するインタビューを行い、両視点から日本サウナの現状をより現場感覚から明らかにする。調査で判明したのは、経営者たちは日本のサウナがフィンランドサウナのようにサードプレイスとして地元住民や観光客など様々な交流が生まれる居場所として機能することを思い描いている。それに対して利用者側はサウナの存在意義を「ととのう」ことだと認識しており、それはあくまで自身が日常で溜まったストレスからの脱却である。それ故に気遣いせずに過ごせる身内間でのみの交流、または一人きりの時間を望んでいることが判明した。つまり経営者側と利用者側とでサウナに対する認識にギャップが生じていると推察している。
講評  筆者は、2010年代に起こったフィンランドでのサウナ文化再発見の動きに注目し、そこでサウナが「社交交流型のサードプレイス」として機能している点に着目し、この考え方が日本に導入される可能性に注目した。筆者は、京都府北部や兵庫県の中山間地をはじめ全国のサウナを訪れるとともに、運営側と利用者側の双方にインタビューをした。その結果、筆者は、運営側には地域交流の場となってほしいという意図があっても、実際のサウナの利用者側にとっては「マイプレイス型のサードプレイス」にとどまり、両者の思いがすれ違っている点を強調する。だが、その一方で、筆者は、個性的なサウナ体験を媒介に、遠方から移動してきた若者どうしが緩やかな「サウナコミュニティ」を生成している点についても記述している。こうしたコミュニティにどういう可能性を見いだせるのか、考察を深めたい。
キーワード1 公衆サウナ
キーワード2 銭湯
キーワード3 サウナ
キーワード4 サードプレイス
キーワード5