学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 轡田 竜蔵 | 年度 | 2023年度 |
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タイトル | なぜ母親の家事負担は減少しないのか―質的調査からみる共働き世帯の母親の家事負担感と対処法― |
内容 | 本稿では、「家事」に注目し、母親の家事負担がなぜ軽減しないのかについて家事負担感および家事の対処法から明らかにすべく調査を行った。本調査では、育児休業を終えて仕事と家庭を両立するなかで家事負担が大きいことや、従来の研究では乳幼児期の子どもを持つ母親を対象にしたものが多いことから、就学後の子どもを持つ共働き世帯の母親を調査対象者とした。 母親たちは限られた時間内に家事を行うことや、仕事から帰宅して疲れているなかで家事に取り組むことに負担を感じていた。家事負担を軽減する手段としては頻度や質を下げる家事の省略、便利家電の利用による合理化、外食や惣菜などの利用による外部化、他の家族成員による代替が考えられるが、本稿の調査対象者は主に家事の省略によって家事を調整していた。共働きであっても家族や外部化に頼ることなく母親自身が主要な家事を行っているため、負担が軽減しないと考えられる。家事は面倒であると感じている母親も多かったが、家事から解放されたら寂しいと感じる母親の存在も明らかになった。そのため、母親たちは家事を負担に感じている一方で、家族のために家事を行うことにやりがいを感じていると考えられる。 |
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講評 | 共働き世帯の母親の家事負担に関わる研究は多いが、乳幼児期の子どもの母親ではなく、小学生~高校生の母親に限定した点に本論文の独自性がある。家事に関する豊富な先行研究を丁寧に検討し、自分の研究の意味を適切に位置付けている。この時期の母親は、乳幼児期に比べて育児にかける時間は減少するが、その一方で料理・洗濯・掃除といった家事にかける時間は微増傾向にあり、この問題の比重が大きいライフステージであると考えられるからだ。筆者は、9名の半構造化インタビューの結果から、母親たちは負担を感じながらも、他方で家事にやりがいを感じているため自分の役割を手放さず、省力化もしないという状況に注目する。本研究は家事負担に限定した問いを立てたが、育児、仕事、生き方といった主題も含め、当該のライフステージの女性の問題として深めるとどうなるだろうか。 |
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キーワード1 | 家事労働 |
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キーワード2 | 家事負担 |
キーワード3 | 共働き世帯 |
キーワード4 | |
キーワード5 |