卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2023年度
タイトル20代女性における外見至上主義と自己肯定感
内容  本稿では主に現代における外見至上主義は20代女性の自己肯定感にどのように影響しているかに焦点を当てて論じる。外見至上主義が普及する背景にはフェミニズムやミソジニーがあり、現在スマートフォン等の影響もあり他者との比較、また自分自身の容姿を見る機会が増えたこともある。ポストフェミニズム等により女性の表現自体が多様化し自由になっている一方で、ルッキズムによる美の基準が民主化し、本当の意味での自分らしさに影響しているともいえる。
 様々な属性を持つ20代女性10名に外見に対する評価などの美に対する意識や自己肯定感についてライフヒストリーに沿って半構造化インタビューを行った。
 結果として、ルッキズムの影響を強く感じている対象者は少なく、むしろ無意識的に受け入れている者が多く見られた。彼女たちは自分の自己表現を自己満足として評価しているが実際のところルッキズムに影響されている面もあるように思われた。自己肯定感が低いものはルッキズムの影響を受けやすいことが判明したが自己肯定感が高い者にとっても無意識に許容しているルッキズムとうまく付き合い自己表現をしていく必要がある。
講評  本論文は20代女性の外見に関する意識が主題である。調査対象のうち4名は美容医療の経験者であり、その経験に関する語りは赤裸々である。筆者は、外見に対する意識に影響を与える要因として、①ルッキズム批判の社会運動、②自己肯定感の低さ、③SNSから得られる情報、④コロナ禍という特殊状況、⑤韓流ブームに注目する。外見至上主義は、ルッキズム批判によって抑制される一方、女性の自己表現の選択肢の拡大のなかで加速している状況もある。また、筆者の調査では、外見の自己評価と内面の自己評価は一致せず、必ずしも外見による自己評価が低いから美容医療を受ける場合ばかりではないことが示唆される。多くの視点が示されているが、研究意義を明確にするためには、フェミニズム思想やセクシュアリティ研究の文脈を深めつつ、筆者の立ち位置を定めていくことが大切だろう。
キーワード1 外見至上主義
キーワード2 自己肯定感
キーワード3 SNS
キーワード4
キーワード5